もくもく

これは存在証明の煙

曇天 - DOES


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DOESの曲で一番初めに聴いた曲が『曇天』だったけれど、今思えば子供時代に聴くにしては渋すぎる曲だったな、と思う。

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すごく褒めているつもりだ。甘ちゃんの私は大人になってはじめて『曇天』の深み、渋みにようやく気づくことができた。

銀魂的視点から見る渋さ

DOESは過去5回、全7曲が銀魂で起用された。その中でも特に『曇天』が支持されているのは歌詞が絶妙に銀魂とリンクしていたからなのだと思う。

曇天の道を傘を忘れて

歩く彼女は雨に怯えてる

ので僕も弱虫ぶら下げて空を仰ぐ

「曇天の中、雨に怯えながら歩く彼女に傘を差し出すでもなく一緒になって空を仰ぐ」

というのが如何にも万事屋っぽく感じるのだ。

いや。万事屋だけじゃなく、真選組でもそうするだろうし、かぶき町の人でも、鬼兵隊でも、銀魂の登場人物なら皆同じことをしそうな気がする。

そういう、分かりづらいようで分かりやすい、ひねくれているようで素直なやさしさとこの歌詞はリンクしているように思えるのだ。

楽曲そのものから感じる渋さ

①メロディ

『曇天』はどちらかというとDOESの中でも重さやハードさを感じるタイプのカッコよさを持っている曲だと感じる。『イーグルマン』とか『ジャック・ナイフ』に近いだろうか。同じく銀魂に起用された曲である『バクチ・ダンサー』はみんな大好き『S.O.S.O』のような疾走感と明るさを感じさせる曲で、最新シングルの『道楽心情』もどちらかといえばこっち寄りな気がする。

『曇天』という言葉のイメージが持つ暗さや重さとメロディの渋さがカッチリ嵌っているところがこの曲のとてつもなくカッコいいポイントだ。

速いテンポ感は『ひゅるりひゅるり』と翔るツバメの様子や『もうじきに夕立がくる』焦燥感を駆り立てるようでこれまた渋い。

②歌詞

DOESは歌詞の言葉選びがとにかく最高なことで定評があるが(あるよね?ある)『曇天』でもこの言葉選びが初っ端から冴え渡っている。

鉛の空重く垂れ込み

真白に淀んだ太陽が砕けて

冒頭、厚い雲で覆われた空を言い表した歌詞の後に続くのが

耳鳴りを尖らせる

であることが、私は天才だと思ってしまう。

この『耳鳴り』の一文だけですごく不愉快な雨の日の頭痛や鬱陶しさとかを全て連想させて一瞬で『曇天』のイメージが決まるからだ。

一番のAメロの歌詞はそういう真っ暗な曇り空や夕立が来そうな予兆を完璧に歌詞に起こしていてとても引き込まれる。

 

『曇天』の歌詞における私の好きポイントがもう一つ。

危険好きの誰かのふりをする小心者共

これは2番のサビの最後の部分。この“小心者共”は、あの『傘を忘れて歩く彼女』と『僕』を指しているのだと思うけれど、

『曇天の道をぶらりぶらぶら歩く二人』は雨をものともしない危険好きの“フリ”をしているだけで本当は二人とも“小心者”のまま、というのがとにかくエモい。いとをかし。

二人とも内心は怯えているのに、弱虫なのに、二人ともそれぞれに強がって危険好きなフリをしているなんてこんなに趣深い状況は無い。

本当にすごい歌詞だなと思う。

 

『曇天』の外側をコーティングしているロックとしてのカッコよさは例えば糖衣のようなもので、口に含んだ瞬間に誰でも感じることができる。

一方、内包される渋みは少しだけ大人になって、外の景色や人の心情にあれこれ考えが及ぶようになってようやく理解できる味なのかなと私は感じた。

こんなにカッコいい曲なのに『スルメ』な一面もある、まさに名曲。